レンガの塗装は必要?DIYは可能?塗料や塗り替え工法も解説

レンガの塗装は必要?DIYは可能?塗料や塗り替え工法も解説

「レンガの外壁に塗装って必要?」
「塗装方法の種類にはどんなものがあるの?」

これらは、レンガの外壁を用いた家にお住まいの方によくある疑問です。

ひと口にレンガといっても、本物のレンガなのかレンガ調なのかでメンテナンス方法は異なります。

ご自宅にピッタリの塗装方法がわかれば、理想の外観を目指しやすくなるはずです。

そこで本記事ではレンガ壁の種類に応じたメンテナンス方法や塗装方法、塗料の特徴などを解説します。

レンガには「本物」と「レンガ調」がある

レンガは大きく分けて、本物のレンガと本物に似せて作られた「レンガ調」の2種類があります。

レンガ調にはタイルやサイディングを用いるケースが多く、日本で一般的に用いられるのはレンガ調です。

本物のレンガが日本に浸透しない理由は、積み上げる工法のため耐震性が低いからです。

一方レンガ調の外壁は本物のレンガのような風合いを創出しつつ揺れにも強いため、地震の多い日本に適しています。

以下では、本物のレンガとレンガ調それぞれの特徴を具体的に解説していきます。

焼成されてできた本物のレンガ

レンガは、ヨーロッパで長い間建材として使用されてきました。

細かく砕いた頁岩の骨材に水や粘土を混ぜ合わせ、型に流し込んで高温で成形したのがレンガです。

建物を構築する際には、レンガを積み上げて構造を作り上げます。

穴を設けたレンガに鉄筋を通して強度を高めるのが、一般的なレンガ工法です。

日本でも「赤レンガ倉庫」や「東京駅丸の内駅舎」などの有名なレンガ建築が存在し、身近な事例ではパン窯やピザ窯などもレンガで作られています。

タイルやサイディングでできたレンガ調

レンガ調では、一般的にタイルやサイディングなどの建築材が用いられます。

レンガ風のタイル(別名:ブリックレンガ)は主成分が土ではなく、石英岩・長石・粘土などです。

またタイルは焼成の温度によって、下記の3種類に分類されます。

・磁器質タイル
・せっ器質タイル
・陶器質タイル

いずれも板状で厚さは通常は数ミリ~数十ミリ程度と薄く、建物の外壁に張り付けて外観を整えるのに使われます。

一方サイディングはセメントや繊維質、増量剤などを混ぜ合わせて板状にし、焼成したものです。

外壁用に作られたサイディングは比較的厚みがあり、凹凸を持たせてレンガの質感を模倣したものもあります。

また工場で生産されるため品質が一定で、多彩な色とデザインがあるのも魅力的です。

ただしレンガやタイルに比べると、劣化はやや早い傾向にあります。

本物やタイルに塗装は不要

本物のレンガは原材料が無機質なので、紫外線による悪影響がほとんどなく定期的なメンテナンスは必要ありません。

仮に塗装しても塗料が定着せず、すぐに剥がれてしまう危険性があるでしょう。

同様にレンガ風タイルも石や砂などの無機質を高温で成形しているため、塗装のメンテナンスは不要です。

ただしいずれもひび割れなどの破損がある場合には、レンガ・タイルの交換や補修が必要になります。

破損部分から水が浸入し内部の劣化につながる恐れがあるため、早めの対処が重要です。

レンガ調サイディングには塗装が必要

サイディングボードは防水性が低いので、塗装によるコーティングで防水する必要があります。

塗料の耐用年数は原材料によって異なりますが、目安は下記のとおりです。

・ウレタン塗料:5〜10年
・シリコン塗料:7〜15年
・フッ素塗料:12〜20年
・無機塗料:18〜20年

無機塗料は耐用年数が長い分価格が高い傾向にあり、普及率が高いのはシリコン塗料です。

再塗装の必要性は、以下の症状から判断できます。

・外壁の色あせ
・チョーキング現象(触ると白い粉が付着する)
・コケやカビの発生
・ひび割れ

上記以外にもボードのつなぎ目のシーリング剤は5〜10年程度が寿命とされており、塗装と併せてメンテナンスが必要です。

レンガ調サイディングの外壁を塗り替える3つの塗装方法

レンガ調サイディングの塗装方法には、下記に挙げる3種類があります。

・色味をそのまま残す「クリヤー塗装」
・目地と外壁を区別する「塗り分け塗装」
・天然石や大理石風に仕上がる「多彩模様塗装」

それぞれの方法を以下にて具体的に解説します。

色味をそのまま残す「クリヤー塗装」

クリヤー塗装とは無色透明の塗料を使用して、レンガ風の模様や外壁の色合いを保持しつつ外観を美しく仕上げる方法です。

外壁が艶やかになるクリヤー塗装は、もともとの外観デザインを維持したい場合におすすめ。

また他の塗装方法が3度塗りなのに対しクリヤー塗装では2度塗りが多く、工期を短縮できる点もメリットです。

ただし下地本来の状態が反映されてしまうため、破損の補修跡などがあると景観を損ねる可能性があります。

したがってクリヤー塗装は、築10年以内の劣化が少ない外壁に行うのがベストです。

目地と外壁を区別する「塗り分け塗装」

塗り分け塗装とはレンガ模様の部分だけに色を付ける塗装方法で、外壁の部分的な色分けが可能です。

またレンガと目地の色分けもできるので、色の組み合わせによって外観を自分好みに調整したい方におすすめ。

さらにクリヤー塗装が適さない外壁でも、下地材と同じ色の塗装をすることで元の外観を復活させられます。

塗り分け塗装では塗装後も補修塗りをする必要があるので、クリヤー塗装よりも工数と費用はかかりがちです。

しかし古い外壁でも意匠性を高めやすい点は、大きな魅力といえます。

天然石や大理石風に仕上がる「多彩模様塗装」

多彩模様塗装は2色以上のチップや粒、骨材などを混ぜ合わせた塗料を使い、模様や凹凸感を創出できる塗装法です。

多彩模様塗装を用いれば、外観に高級感を持たせたり天然石のような外壁を目指せたりできます。

デザイン性を大切にしたい方におすすめの塗装法ですが、材料費や施工費は他の方法と比べて割高になります。

初期費用が高くなる分、耐久性が高くコストパフォーマンスのよい塗料を選ぶことが大切です。

レンガ調サイディングの外壁塗装の費用相場

レンガ調サイディングの外壁を塗装する際の費用相場は、1平方メートル当たり2,300〜7,000円程度です。

また足場の設置や施工の費用も合わせると、トータルコストの目安は下記になります。

・足場の設置:20万円程度
・養生:5万円程度
・高圧洗浄:3万円程度
・下地処理:4万円程度
・塗装:40〜70万円程度

※上記は外壁と屋根の塗装を同時に行った際の費用相場です。

30坪程度の住宅の場合、外壁のみの塗装で70〜110万円、屋根塗装も同時に行うと110〜160万円程度が費用相場です。

住宅の広さや塗料の種類によって価格は異なりますが、塗装を検討の際は上記の価格を考慮して予算を決めることが重要です。

レンガの塗装でよくある質問

最後にレンガの塗装でよく挙がる疑問を紹介します。

本物レンガやレンガ調タイルのメンテナンスにも触れるので、今後家を建てる方や塗装を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

本物のレンガにはメンテナンスが不要?

本物のレンガには塗装のメンテナンスが不要ですが、下記の劣化症状が見られるのであれば症状に応じた対処が必要です。

・ひび割れ
・コケの発生
・目地の劣化
・レンガの脱落
・チョーキング

たとえばひび割れの場合、防水材を流し込んで強度を高める必要があります。

目地の劣化があれば、目地に使用されるモルタルの中性化を防ぐ塗料で補修を行う作業が必要です。

レンガの脱落があれば、シンプルに脱落した箇所にレンガを張り付けるだけで済むケースがあります。

一方で母骨の鉄筋がレンガ同士を繋いでいる構造の場合には、補修が複雑になるので注意が必要です。

レンガ調タイルはどう劣化する?

レンガ調のタイルに見られる劣化症状は、タイルの浮きやクラック(ひび割れ)、目地材の剥がれなどです。

タイルの浮きがある場合、エポキシ樹脂などで隙間を補填する補修が必要です。

クラックは補修が不可能なので、張り替えもしくは皮膜で覆う処置になります。

ただし皮膜で覆ってもクラックを隠せないので、美観は損なわれる可能性があります。

いずれの劣化にも落下による損害リスクがあるので、放置せず定期的に劣化がないかどうかを確認しましょう。

レンガ調外壁の塗装をDIYできる?

レンガ調外壁の塗装に、DIYはおすすめできません。

なぜなら塗装には多くの道具や工程を要したり、高所での作業のため落下のリスクが伴ったりするからです。

道具が落下して人や物に当たると、損害賠償が生じるケースもあるでしょう。

自分で作業できれば費用を安く済ませられますが、万が一の事故を考慮するとコストがかえって増大する可能性があります。

外壁塗装の際は必ず塗装業者に依頼し、不安なく美しい外観を目指しましょう。

好みに合ったレンガ調の外壁塗装でおしゃれな家を目指そう

本物のレンガやレンガ調タイルと違い、レンガ調サイディングを用いた外壁には塗装のメンテナンスが必要です。

塗装方法にはクリヤー塗装や塗り分け塗装、多彩模様塗装などがあり、外観の好みに合わせて選べます。

塗装方法を選ぶ際は、施工費用などを含めたトータルコストや耐久性を踏まえたコストパフォーマンスを考慮して検討しましょう。

本記事が、塗装を検討される方にとって理想の外観を実現するためのサポートとなれば幸いです。

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監修者プロフィール
間中明世

マナカリフォーム株式会社
代表取締役 間中明世

保有資格:

足場作業主任者・石綿作業主任者・石綿含有建材調査者・アステックペイント技術研修会 修了

業界歴・経歴:

塗装工事に従事し13年以上。1,000棟以上の塗装工事に携わり独立後は千葉市/四街道市で674棟以上の塗装工事を実施

出身地:

千葉県千葉市稲毛区

私は8年間、下請けの現場作業員として勤務していました。
仕事自体は好きでしたが、元請けの仕事のやり方で何度か嫌な思いをした経験があります。例えば本来正面の1面だけでよい足場を、4面にかけて不要な費用を発生させるなどです。その他にもお客様への向き合い方で大小さまざま、疑問に感じることがありました。ただ元請け先との関係から何も言い出せない、そんな現状に悩み続ける毎日を過ごしておりました。
「もっと誠実にお客様と向き合いたい」「工事で失敗する方を減らしたい」
という想いが日に日に強くなり、マナカリフォーム株式会社を立ち上げるに至りました。
創業時の想いと「常に誠実・正直」を信念に、お客様を裏切らない仕事をお約束します。

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