モルタル外壁は塗装すべき?タイミングやメリット、注意点などを解説

モルタル外壁は塗装すべき?タイミングやメリット、注意点などを解説

「モルタル外壁の塗装を考えているけれど、どのようなタイミングで検討すべきなのかわからない」
「モルタル外壁を塗装するメリットや注意点はあるのだろうか」

このように悩んでいる方に向けて、本記事では下記の内容をご紹介します。

・モルタル外壁へ塗装を考えるタイミング
・モルタル外壁を塗装するメリット
・塗装を依頼する前に注意すべき事
・よくある疑問

モルタル外壁への塗装を考えている方はぜひご一読ください。

モルタル外壁への塗装を検討するタイミング

足場の風景

モルタル外壁を塗装するタイミングについて解説していきます。

具体的には、下記のような症状が発生したら塗装を検討することをおすすめします。

・色あせや汚れ
・クラック(ひび割れ)
・チョーキング
・浮きや剥がれ
・カビやコケ

軽い症状だと見過ごしていては劣化がどんどん深刻になり、建物自体の寿命が短くなってしまう恐れがあります。

まずは、自分の住宅に気になる劣化症状がないか目視で確認してみましょう。

色あせ・汚れが確認できたとき

色あせとは、紫外線や化学変化によって発生する経年劣化のことです。

外壁は雨風や直射日光などの影響を毎日受けているため、年数が経つと新築のときにあった艶がなくなってしまいます。

美観を保つには定期的に塗装する必要があるため、10年を目安に塗り替えを検討してみてください。

クラック(ひび割れ)が発生したとき

外壁にひび割れが生じることをクラックといい、2つの症状があげられます。

・ヘアークラック
・構造クラック

ヘアークラックは、モルタル自体が乾燥することで収縮し、浅いひび割れが発生することです。

建物の構造自体に影響を及ぼすようなものではないので、すぐに悪影響が発生することは基本的にありません。

しかし外壁全体に多くのヘアークラックが生じている場合は、塗料が寿命を迎えている可能性があります。

ヘアークラックを多く確認できる場合は、業者へ相談してみましょう。

構造クラックとは、建物の構造部分まで届いている深いひび割れのことです。

ひび割れ部分から外壁材の中へ雨水が浸入してしまうので、雨漏りが発生したりシロアリなど湿気を好む害虫などが浸入したりする恐れがあります。

構造クラックは外壁に深刻な悪影響を与える可能性があるため、早急に業者へ相談しましょう。

チョーキングが発生したとき

チョーキングとは、外壁を手で触ったときに付着する白い粉のことです。

塗膜表面の樹脂が劣化することで、白色の顔料が発生します。

チョーキングは外壁の防水効果が失われているサインなので、塗装するタイミングです。

防水効果が薄れた外壁は、建物の内部に雨水が浸入しやすくなってしまいます。

雨漏りや鉄筋のサビの発生にもつながり、放置すると家の寿命が縮む恐れもあります。

チョーキングは外壁を手で触るとすぐにわかるため、劣化症状を確認する方法としてぜひ覚えておきましょう。

浮きや剥がれが確認できたとき

塗料の付着力が低下することで、浮きや剥がれが発生します。

経年劣化や業者の施工不良などが主な原因です。

塗料が剥がれていると外壁材を保護する機能が低下するため、塗装が必要になります。

大きな浮きではないからと放置するのではなく、見つけたらまず業者へ相談しましょう。

カビやコケが目立つとき

外壁に汚れが目立ってくるとカビやコケが生えやすくなります。

モルタルは表面がザラザラしているため、汚れがつきやすい外壁です。

汚れを放置してしまうとカビやコケが目立ち、洗っても落ちにくいため塗装が必要です。

特に軒下など日陰になる場所はカビやコケが繁殖しやすいため、定期的な清掃をおすすめします。

モルタル外壁を塗装するメリット

モルタル外壁を塗装するメリットを3つご紹介します。

・工事費が安い
・外観が良くなる
・機能性が上がる

モルタル外壁を塗装することで、美観を保てるだけではなく外壁の機能性まで向上します。

外壁塗装を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

工事費用が安い

外壁塗装の費用相場は、約30坪の住宅だと外壁のみの塗装で70〜110万円です。

「それなりの費用が必要になるのだな」と思うかも知れませんが、外壁の張り替えや重ね葺き(カバー工法)よりは安価に依頼できます。

なお、外壁の重ね葺き(カバー工法)の場合は30坪の住宅で140~220万円ほどです。

張り替えの場合は重ね葺き(カバー工法)より多くの費用が必要になります。

外観が良くなる

外壁塗装を行うと家の美しい外観を保てます。

外壁は年数が経過するにしたがって汚れの付着や色あせ、カビ、剥がれなどの劣化症状が発生するものです。

外壁塗装すると色あせや汚れがなくなるので、古びた見た目からイメージを刷新できます。

放置せずに外壁を塗り直すと建物の寿命が延び、資産価値を高める効果も期待できます。

塗料によっては機能性が上がる

外壁塗装に使用する塗料によっては、便利な機能を外壁に付与できます。

塗料の中には防汚・断熱効果などが期待できるものがあり、外壁の性能をより良くできます。

たとえばモルタル外壁は防水性が低いため、塗装するときは防水効果の高い塗料がおすすめです。

ひび割れしやすいことを考慮して塗膜の剥がれ防止に、透湿性のある塗料を選ぶのも良いです。

外壁材によって適した塗料があるので、満足した仕上がりになるように業者と相談しながら選んでください。

モルタル外壁の塗装方法

モルタル外壁の塗装方法にはいくつか種類があり、どのような仕上がりにしたいかで塗装方法が異なります。

主な塗装方法は以下の5つです。

・リシン仕上げ
・スタッコ仕上げ
・吹き付けタイル仕上げ
・パターンローラー仕上げ
・左官仕上げ

それぞれ解説します。

リシン仕上げ

リシン仕上げとは、砂や砂利にセメントや樹脂・着色剤などを混ぜたものを吹き付ける塗装方法です。

外壁の表面がザラザラした質感になり、マットで落ち着いた印象に仕上がります。

リシン仕上げは安価な点がメリットですが、表面の凹凸部分に汚れがつきやすくひび割れが起きやすい点はデメリットです。

スタッコ仕上げ

スタッコ仕上げは、セメントに樹脂や骨材などを混ぜたものをスプレーガンで吹き付けながら仕上げる塗装方法です。

「スタッコ吹き付け」と呼ばれることもあります。

スプレーガンのほかにもコテやローラーを使って仕上げる場合もあります。

スタッコ仕上げは塗装に厚みがでるため、重厚感のある外壁に仕上がるのが特徴です。

高級感や立体感を出したい場合にもおすすめです。

デメリットとしては、リシン仕上げよりも凹凸感が強く、汚れが落ちにくいことが挙げられます。

また、塗装に厚みが出る分乾燥しにくくムラが発生しやすいです。

吹き付けタイル仕上げ

吹き付けタイル仕上げは、樹脂に結合剤などを混ぜたものをタイルガンという特殊な機械を使ってまだら模様に仕上げる方法です。

塗料に砂利などを含まないため、ザラつきが少なく陶器のような仕上がりになります。

吹き付けタイル仕上げは水を弾きやすい性質があるので、防水効果も期待できます。

パターンローラー仕上げ

パターンローラー仕上げは凹凸がついた専用ローラーで仕上げる方法です。

ローラーのみで作業を行うため安全性と作業性に優れています。

専用ローラーの凹凸にはいくつか種類があり、好きなパターンで自由に仕上げられる点が特徴です。

タイル調・波模様・リーフ柄・花柄などさまざまなパターンから選べます。

左官仕上げ

左官仕上げはその名のとおり、左官職人が手作業で模様を作る方法です。

コテを使って手作業で行うため技術が求められます。

手作業でさまざまな模様を作成できるため、デザイン性のある外壁にすることも可能です。

ただし、左官職人の腕によって色ムラや塗り残しなど技術の差がでやすい点は注意が必要です。

モルタル外壁の塗装に適した塗料

モルタルの外壁塗装に適した塗料に弾性塗料があります。

弾性塗料はゴムのような弾力性があり、ひび割れが起きやすいモルタルの外壁に適しています。

弾性塗料は主に以下の3種類です。

・単層弾性塗料
・複層弾性塗料
・微弾性塗料

一つずつ解説します。

単層弾性塗料

単層弾性塗料とは粘度の高いゴム系塗料のことです。

価格は安価ですが耐久性は弾性塗料の中で一番低いです。

単弾性塗料は、下塗り1回、上塗り2回の3工程で仕上げます。

上塗りを2回行うことで弾力性が増しひび割れにも強くなりますが、複層弾性塗料に比べると弾力性や防水性は劣ります。

微弾性塗料

微弾性塗料は、単層弾性塗料と複層弾性塗料の間に位置する塗料です。

単層弾性塗料と同じ3工程で仕上げます。

シーラーの代わりに微弾性フィラーという厚みを持たせられる下塗り材を使用することが多いです。

細かいひび割れなら微弾性フィラーを塗るだけで埋められます。

微弾性塗料は上塗り塗料のグレードを自由に選択できるため、弾性塗料の中では使い勝手がよく最も使用されている塗料です。

複層弾性塗料

複層弾性塗料は、単層弾性塗料や微弾性塗料に比べて強度や耐久性が高い塗料です。

塗装方法は弾性シーラーを1回塗ったあと中塗り2回、上塗り2回の5回塗りが基本です。

ひび割れ対策を重点的に行いたい方におすすめの塗料と言えます。

微弾性塗料と同様に上塗りのグレードを自由に選べますが、塗りの回数が増える分費用が高額になり工期も長くなるのが一般的です。

複層弾性塗料は作業工程や材料代もかかるため塗り替えではあまり使用されず、主に新築で使用することが多い塗料です。

モルタル外壁塗装の費用相場

モルタル外壁塗装の費用相場は以下のとおりです。

・70〜110万円

上記費用は約30坪ほどの一戸建て住宅を想定しており、以下の足場や高圧洗浄代などを含んだ価格となります。

・足場の設置:20万円程度
・養生:5万円程度
・高圧洗浄:3万円程度
・下地処理:4万円程度
・塗装:40〜70万円程度

上記以外にもシーリング費用・付帯塗装費用・消費税・諸経費が入ります。

費用相場は塗装環境や使用する塗料によっても異なるため、あくまで目安と考えてください。

モルタル外壁の塗装手順

モルタル外壁の塗装手順は以下のとおりです。

・足場の設置
・高圧洗浄
・下地処理、養生
・下塗り
・中塗り、上塗り
・足場解体、清掃

それぞれ解説します。

足場の設置

まずは足場を設置します。

外壁塗装するうえで、高所での作業性の向上や職人が安全に作業するためにも足場の設置は必須の工程です。

足場設置時には金属音が響くことがあるので、近隣の方に事前にその旨を伝えておくとトラブルを回避できます。

高圧洗浄

足場の設置後は、高圧洗浄で汚れやカビを落とし塗料の密着性を高めます。

外壁に汚れが付着したままでは塗料の密着性が弱まり、剥がれの原因となります。

美しい仕上がりのためには、しっかりと汚れを落とすことが大切です。

下地処理

下地処理は塗料をしっかりと密着させるために必要な作業です。

下地処理が不十分だと塗装が剥がれやすくなってしまいます。

また、モルタル外壁に浮きや剥がれ・ひび割れなどがあれば先に補修が必要です。

養生

下地処理が終了したら塗装しない場所を養生し、塗料の飛散を防ぎます。

養生には、ブルーシートや飛散防止ネットが使われます。

塗装する箇所としない箇所の境界線が真っ直ぐになるように、マスキングテープを貼ることも養生の1つです。

塗料が近所に飛散するのを防ぐだけでなく、美しい仕上がりのためにも養生は大切です。

下塗り

下塗りは、外壁と上塗材を密着させるために必要な作業です。

外壁の表面をきれいに整えることで、次に塗る塗料の密着性を向上させます。

下塗りは塗りの工程では欠かせない作業です。

中塗り・上塗り

下塗りが乾燥したら中塗り・上塗りの順に塗装します。

中塗りと上塗りに同じ塗料を使うことで塗膜に厚みを持たせることが可能です。

上塗りは耐久性や外壁の保護とツヤを出す役割もあります。

中塗り、上塗りともにメーカーの塗布量や乾燥時間を守らないと剥がれの原因となるため注意が必要です。

足場解体・清掃

すべての塗装が終了したら、足場の解体と清掃が行われ作業は終了です。

作業が終了したら業者と一緒に近隣への挨拶は忘れずに行いましょう。

塗装期間が長かったり車の移動などで手間をかけてしまったりした場合には、菓子折りなどを持参するのもおすすめです。

モルタル外壁を塗装する前に知っておきたいこと

モルタル外壁の塗装を依頼する前に知っておきたいポイントを紹介します。

・仕上がりにムラが発生することがある
・塗料にも耐用年数がある
・悪徳業者に注意する
・塗装でモルタルの風合いがなくなる場合がある
・工期が長くなる

何も知らないまま塗装を始めると、仕上がりを見てから後悔してしまうかもしれません。

納得した塗装を依頼できるように、いくつかの注意点を紹介していきます。

仕上がりにムラが発生することがある

モルタル外壁の塗装は、職人の技術によって仕上がりにムラが発生する場合があります。

どうしても人の手でおこなうため、吹き付けを実施するときに均一に塗れない可能性があるからです。

外壁塗装を依頼する場合は、経験豊富な職人が在籍している業者へ相談することをおすすめします。

塗料にも耐用年数がある

外壁塗装を行ったからといって、ずっと丈夫な外壁を維持できるというわけではありません。

塗料にも耐用年数があり、どの塗料を使うかで外壁を保護できる期間が変わります。

塗料の耐用年数は下記のとおりです。

・ウレタン塗料:5〜10年
・シリコン塗料:7〜15年
・フッ素塗料:12〜20年
・無機塗料:18〜20年

モルタル外壁の塗装を長持ちさせるためにも、定期的な点検とメンテナンスは欠かさず行いましょう。

悪徳業者に注意する

塗装業者の中には悪徳業者も存在するので、信頼できるところに依頼する必要があります。

悪徳業者に依頼して塗装してもらうと、手抜き工事されたり高額な料金を請求されたりする場合があります。

せっかく外壁をきれいにしようと依頼しても、仕上がりに不満を抱くような塗装工事をされては納得できないものです。

塗装業者へ依頼するときには十分な実績があるかどうかや、信頼性の高い業者かを公式サイトやネットの口コミで確認することをおすすめします。

塗装でモルタルの風合いがなくなる場合がある

使用する塗料によっては、モルタルならではの凹凸感がなくなってしまう可能性があります。

モルタルの凹凸をなくさないためには、下塗りに微弾性フィラーではなくシーラーを使用するのがおすすめです。

塗料をローラーで塗るのではなく、吹き付ける方法でもモルタルの風合いを残せます。

工期が長くなる

モルタルは塗料が染み込みやすいため何回も重ね塗りが必要です。

そのため、施工に時間がかかる点に注意が必要です。

塗料が下地に染み込む現象を「吸い込み」といいますが、吸い込みが発生すると色ムラもできやすくなります。

乾燥にも時間がかかるため、工期が長くなる点は考慮しておきましょう。

モルタル外壁を塗装するときによくある質問

モルタル外壁の塗装についてよくある質問をまとめました。

・モルタル外壁の塗装はDIYできるのか
・モルタル外壁のデメリット

この機会にわからないことは事前に解消しておきましょう。

モルタル外壁の塗装はDIYできる?

DIYによるモルタル外壁の塗装は、不可能ではありませんがおすすめできません。

外壁を塗装する場合は全体で均一に塗る必要があるからです。

ムラが発生すると塗料の性能を発揮できないだけでなく、外壁の劣化を早めてしまう原因にもなってしまいます。

DIYでの塗装は行わず、最初から業者への相談をおすすめします。

モルタル外壁のデメリットは?

モルタル外壁のデメリットは下記の3つです。

・ひび割れしやすい
・汚れやすい
・仕上がりに良し悪しが出やすい

モルタル外壁は乾燥と湿潤を繰り返すことで、ひび割れしやすい外壁材です。

防水性能も低いため、ひび割れが発生するとその部分から雨水が浸入しやすくなります。

モルタル外壁の特徴である表面の凹凸は、ほこりが溜まって汚れが目立ちやすい点がデメリットです。

気になるようであれば、塗装ではなく新しい外壁材へ張り替えるという選択肢もあります。

モルタル外壁の塗装は業者への相談がおすすめ

モルタル外壁の塗装は外観を良くするだけではなく、外壁の性能向上までできるものです。

雨漏りを防止して建物の寿命を延ばすという意味でも、モルタル外壁の塗装は重要です。

しかし、塗装したからといって永久的に美観を保てるわけではありません。

塗料の耐用年数や職人の技術にもよります。

モルタル外壁を塗装するときには使用する塗料だけではなく、実績があり信頼性の高い業者へ依頼することが大切です。

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監修者プロフィール
間中明世

マナカリフォーム株式会社
代表取締役 間中明世

保有資格:

足場作業主任者・石綿作業主任者・石綿含有建材調査者・アステックペイント技術研修会 修了

業界歴・経歴:

塗装工事に従事し13年以上。1,000棟以上の塗装工事に携わり独立後は千葉市/四街道市で674棟以上の塗装工事を実施

出身地:

千葉県千葉市稲毛区

私は8年間、下請けの現場作業員として勤務していました。
仕事自体は好きでしたが、元請けの仕事のやり方で何度か嫌な思いをした経験があります。例えば本来正面の1面だけでよい足場を、4面にかけて不要な費用を発生させるなどです。その他にもお客様への向き合い方で大小さまざま、疑問に感じることがありました。ただ元請け先との関係から何も言い出せない、そんな現状に悩み続ける毎日を過ごしておりました。
「もっと誠実にお客様と向き合いたい」「工事で失敗する方を減らしたい」
という想いが日に日に強くなり、マナカリフォーム株式会社を立ち上げるに至りました。
創業時の想いと「常に誠実・正直」を信念に、お客様を裏切らない仕事をお約束します。

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